今回おじゃましたのは、滋賀県・琵琶湖のほとりにあるいちご農園「湖と苺」。
関西最大級の広さを誇るビニールハウスの中には、真っ赤ないちごがずらり...!
滋賀県オリジナル品種の「みおしずく」をはじめ、珍しい白いちごなどを含む 10 種類ものいちごが栽培されています。
この農園、なんとダイハツ車のエンジンやトランスミッションなどの部品を製造している「株式会社メタルアート」が手がけているのです!
えっクルマの部品を作る会社が、いちご?!
と驚きですよね。
今回は、農園の社長である大石さんとパティシエの堀池さんに取材をし、農園設立の背景や、メタルアートの挑戦についてお話を伺いました。
メタルアートが、なぜいちご農園を?!
メタルアートは、自動車をはじめ、建設機械や産業機械などの各種部品の鍛造・加工を手がけるメーカーです。
長年にわたり培ってきた技術力を強みに、ダイハツ工業のグループ会社としてものづくりの現場を支えています。
そんなメタルアートが、なぜ異業種であるいちご農園を始めたのか。
ハウスの中を案内してくださった社長の大石さんが、農園を始めた理由について話してくれました。
社内公募で抜てき!~地域振興と、みんなの働き口に~
自動車業界が“100年に一度の変革期”と言われる中で、うちも将来を見据えて、新しい取り組みをしていかないといけないという思いがありました。今の事業だけに頼るのではなく、もう一つ柱になるものが必要だと感じていたんです。
――そこで始まったのが、新規事業の社内公募なのですね。
まずは社員からアイデアを募ろうと。いろんな案が出ましたよ。介護や宅配サービスなど、本当にさまざまでした。その中で、最終的に“農業”の案が採用されたのです。
――なぜ農業だったのでしょうか。
やっぱり、地域としっかり関われる事業にしたかったんです。人が滋賀に足を運ぶきっかけになり、地域全体が元気になるような取り組みができたらと。
それに、雇用という意味でも可能性がある。少子高齢化で、人がなかなか増えない世の中ですから。工場の仕事はどうしても体力が必要な部分もあるので、いつまでも続けられるわけではありません。シニアの方の受け皿としても機能してくれればと考えていました。
――そもそも、作物としてなぜいちごを?
農業の中でも、いちごは比較的参入しやすいんです。それに、観光とも相性がいい。冬から春にかけてが旬なので、比較的観光客が少ない冬場にも、いちご狩りを目的に滋賀へ来てもらうきっかけになればと考えました。
――この農園は、従業員の皆さんにとってどんな存在であってほしいですか?
メタルアートという社名は、普段の暮らしの中で目にする機会が多いわけではありません。子どもからすると“お父さんの会社って何をつくっているの?”と少しわかりづらい部分もあると思うんです。
でも、たとえばこのいちごを見て、『これはお父さんの会社がやっているんだよ』と話せる。そんなふうに、社員やそのご家族にとっても、誇りに思ってもらえる存在になれたらうれしいですね。
地域に人を呼び、冬の滋賀に新しいにぎわいを生み出す。
その挑戦が、やがて従業員にとっての誇りへとつながる。
「湖と苺」には、そんなメタルアートの未来への思いが込められていました。
メタルアートの社員からパティシエ誕生?!
湖と苺には、いちご農園だけでなくカフェも併設されています。採れたてのいちごをふんだんに使用したスイーツがショーケースに並び、甘くみずみずしい旬の味わいを楽しむことができます。
そのカフェでお菓子やスイーツを手がけているのが、パティシエの堀池さん。
実は、約4年前までメタルアートの社員としてオフィスで働いていたのだそうです。
――どういった経緯で「湖と苺」のパティシエになられたのでしょうか。
当時は大石さんと同じくメタルアートの総務部にいて、農園立ち上げメンバーに選ばれたのがきっかけでした。
いちごの中には形が不ぞろいで販売しづらいものもあり、それをお菓子やスイーツとして活用できないかという話になりました。そこで製菓の知識が必要になったのです。
――なぜ堀池さんが抜てきされたのでしょう。
私は趣味でお菓子作りをしていたんです。そのことを大石さんに知っていただいていて、“一緒にやらないか”と声をかけていただきました。正直、仕事になるとは思っていなかったので、最初は驚きました。
その後、堀池さんは会社の支援を受け、1年間製菓学校へ通うことになります。
そこで基礎から本格的にお菓子作りを学び、パティシエとしての道を歩み始めました。
――突然のキャリアチェンジに戸惑いはなかったのでしょうか。
私自身、新しく何かにチャレンジすることは好きなので、純粋にやってみようと思えました。会社からの支援もありましたし、不安よりも“まずはやってみたい”という気持ちの方が強かったですね。
“まずはやってみる”。
その姿勢こそが、メタルアートのものづくりの原点だといいます。
“メタルアートだから”できた農園
湖と苺には、ほかの農園とはひと味違うこだわりが数多く詰まっています。ハウスの中を歩いていると、ただ広いだけではないことに気づきます。
ハウスの設計にあたっては、全国のいちご農園の構造データを収集し、細部に至るまで検証を重ねたといいます。
安全で移動しやすい動線設計も、その積み重ねから生まれた工夫のひとつです。吊り下げ式の栽培方法を採用し、苗の高さは子どもの目線に合わせています。
大人でも、少し視線を落とせば、赤く色づいたいちごがすぐ目の前に。
無理にかがみ込むこともなく、自然な姿勢で手を伸ばすことができます。
さらに、給水用のパイプは端に集約され、通路にはゆとりが確保されています。車いすやベビーカーを利用する方も安心して移動できる設計です。そこには、長年ものづくりの現場で培ってきた「人の動きを考える」視点が生かされています。
「せっかく来ていただくなら、安心して楽しんでほしい――。そしてより多くの方々に訪れてもらえるように。」
そう話す大石さん。
メタルアートの品質に対するこだわりが、いちご農園のひとつひとつの設計にもしっかりと受け継がれているようです。
『Aggressive Risk Taking』~挑戦は、これからも続く~
「いちごは季節ものですからね。収穫がない時期をどうするかも考えないといけません。」
現在は、いちごの後作としてメロン作りにも挑戦しているそうです。テスト栽培では思うような甘さが出なかったものの、改良を重ねているといいます。
「やってみないとわからないこともあります。でも、改善していけばいい。メタルアートのものづくりと同じです。今後はメロン栽培に限らず、あらゆる可能性に挑戦しながら、会社とともに成長していけたらと思います。」
と大石さん。
それは、メタルアートが掲げるスローガン “Aggressive Risk Taking” の姿勢そのもの。
「チャレンジしよう」という前向きな風土が、このいちご農園にも根付いているようです。
分野は違っても、根底にあるのは未来に向けて一歩踏み出す気持ち。
「湖と苺」は、メタルアートのもうひとつのものづくりとして、これからも進化を続けていきます!
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文=DX推進部 里(社内複業)
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この記事の登場人物
株式会社メタルヴィレッジ
大石さん
株式会社メタルヴィレッジ
堀池さん